ラジオアイソトープ管理室 (2010/4 ~)
奥野 海良人 (知の拠点研究員): Alato Okuno, PhD.
岸 智美 (研究補助員):Tomomi Kishi, BSc.
自己紹介
奥野海良人(おくの あらと)です。
愛知県の研究拠点整備事業である「知の拠点あいち」のプロジェクトの一つ「アルツハイマー病・パーキンソン病等を早期発見する無侵襲計測システム開発」
に特任研究員として関わっています。
現在日本は未曽有の超高齢化社会を迎え、アルツハイマー病・パーキンソン病等の神経疾患の増加が問題となっています。しかしながらこれら疾患の発症機序
の解明は十分ではなく確定診断も容易ではありません。そこで我々はアルツハイマー病、パーキンソン病発症を早期に発見するための非侵襲的なスクリーニング
検査として、世界最先端の技術である半導体イオンイメージセンサ(右下写真)を用いて尿中疾患バイオマーカーを検出する方法を開発しています。これが実現
すれば高感度、安価、迅速、簡便に少量の尿から病気の診断をすることが可能となり、疾患の超早期発見のみならずその治療経過観察等を非侵襲で行うことがで
きるようになります。
一方、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンの代謝産物「キノリン酸」とアルツハイマー病の発症との関連についても研究を行っています。アルツハイ
マー病患者の剖検脳ではIndoleamine2,3-dioxigenase(IDO)の発現増大と、神経毒性を有するキノリン酸の異常蓄積が認められ
ます。このIDOは、トリプトファンからキノリン酸を産生する代謝経路の初発酵素であり律速酵素でもあります。当研究室では、このキノリン酸が持つ神経毒
性に端を発する炎症サイクルがアルツハイマー病発症の一因になっている可能性を示唆する結果を得ています。上記と並行し、IDO阻害剤の開発にも関わって
います。この阻害剤は将来、アルツハイマー病の治療薬になるかもしれないと期待されています。
これらの研究が結実し、将来、人々が天寿を全うするまで生き生きと生活できるようになれば素晴らしいことだと考え研究に取り組んでいます。
岸 (右写真2段目)は、2013年4月より本研究室にて実験補助を行っています。外資系大手バイオメーカーでの9年間の営業経験があります。
研究内容
最近の原著論文
Fukuhara K, Ohno A, Ota Y, Senoo Y, Maekawa K, Okuda H, Kurihara M, ○Okuno A, Niida S, Saito Y, Takikawa O. NMR-based Metabolomics of Urine in a Mouse Model of Alzheimer's Disease: Identification of Oxidative Stress Biomarkers. J Clin Biochem Nutr. 52:133-138, 2013. |
---|
Higashitani
K, Kanto T, Kuroda S, Yoshio S, Matsubara T, Kakita N, Oze T, Miyazaki
M, Sakakibara M, Hiramatsu N, Mita E, Imai Y, Kasahara A, ○Okuno
A, Takikawa O, Hayashi N, Takehara T. Association of enhanced activity
of indoleamine 2,3-dioxygenase in dendritic cells with the induction of
regulatory T cells in chronic hepatitis C infection. J Gastroenterol.
2013 May;48(5):660-70. |
Tajima Y, Ishikawa M, Maekawa
K, Murayama M, Senoo Y, Nishimaki-Mogami T, Nakanishi H, Ikeda K, Arita
M, Taguchi R, Okuno A, Mikawa R, Niida S, Takikawa O, Saito Y.
Lipidomic analysis of brain tissues and plasma in a mouse model
expressing mutated human amyloid precursor protein/tau for Alzheimer's
disease. Lipids Health Dis. 2013 May 9;12:68. doi:
10.1186/1476-511X-12-68. |
Okuno
A, Fukuwatari T, Shibata K. High tryptophan diet reduces extracellular
dopamine release via kynurenic acid production in rat striatum. J
Neurochem. 2011 Sep;118(5):796-805. doi:
10.1111/j.1471-4159.2011.07369.x. Epub 2011 Jul 21. |
Takahashi K, Okuno A, Fukuwatari T, Shibata K. Comparison of the nicotinamide catabolism among rat strains. Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Feb;73(2):274-9. Epub 2009 Feb 7. |
[海外発表] |
Mikawa R, ○Okuno A, Yoshimi T, Okada K, Takayanagi A, Takikawa O. Implication of Brain Microvessel Endothelial Cell-derived Beta-Amyloid Peptide in Cerebral Amyloid Angiopathy Associated with Alzheimer's Disease. Alzheimer's Association International Conference (AAIC) 2013, July 14, Boston, USA. |
○Okuno A, Yoshimi T, Okada K, Mikawa R, Takayanagi A, Takikawa O. Pathogenic role of IDO in Alzheimer’s disease : Astrocytes but not neurons are responsible for the increase of amyloid β peptide induced by neurotoxin quinolinic acid. 第13回国際トリプトファン研究会, November 7, 2012, Sydney, Australia. |
|
[特許出願] |
1.名称:化学・物理現象検出方法及びその装置 出願番
号:特願2013-112444 出願人:独立行政法人国立長寿医療研究センター、国立学校法人豊橋技術科学大学 発明者:滝川修、奥野海良人、吉見立也、澤田和明、奥村弘一 |