3.研究テーマ 研究手法(アプローチ)としては分子生物学、免疫学に加えてマウスを実験動物モデルにCre-loxPシステムを駆使した時間・空間特異的な条件つき遺伝子ターゲティングを中心とした発生工学、さらには胚性幹細胞を扱う遺伝子工学、再生工学等を複合的に捉えて老化と免疫の接点を意識して仕事をする方向で動いています。現在は以下のテーマで独創性に満ちた、わかりやすい研究を推進しています。 A. 獲得免疫系における加齢に伴う機能低下の分子機構の解明に関する研究 加齢・老化に伴う獲得免疫系の変化は高齢者が抱え込む多くの疾患の発生機序のメカニズムと密接に関わっています。とりわけ、一度経験した感染症から体を守っている免疫記憶の誘導や生体内での維持される仕組みを明らかにすることはワクチンあるいは抗体を用いた免疫療法等にも大きな影響を与えるので、健やかな高齢化社会を築くためにも重要です。私たちは分子のレベルでB細胞、T細胞、樹状細胞といった獲得免疫応答担当細胞での研究を進め、最終的にはマウス個体レベルでの免疫反応の機能低下を解析できる実験動物モデルを確立し、ヒトに還元できる免疫賦活化システムの構築を目指します。加えて、私たちが注目している遺伝子、分子の中に免疫応答反応の低下に限らず、回復も含めた基礎免疫力をモニターできるバイオマーカーとして機能しうるものがあるのかそれらの可能性を探っています。 <関連する研究成果> *胚中心において高発現していたZizimin2はリンパ球特異的に発現する Dock180系cdc42結合新規GEFだった。 図2 C57Bl/6マウスをNPCGにて免疫後、脾臓胚中心にて遺伝子発現が上昇しているシグナル伝達機能分子として、CDMファミリー分子に属する新規タンパク、Zizimin2を同定した。(Nishikimi et.al, 2005) |