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認知症の人の痛みに気づく5つのポイント

はじめに

この記事を読んでいただいている皆さん、気に留めていただき、ありがとうございます。
皆さんは、認知症の人が、何かつらそうな様子に見えるけど、自分はわかってあげられない、と悩んだことはありませんか?
痛みについて書かれた本はたくさんありますが、この記事では、痛みを訴えることが難しい認知症の人の痛みを、どのように気づいてあげればよいか、について解説します。
そうです。この記事で学ぶことができるのは、認知症の人の痛みに気づくための方法なのです。
私は、認知症の専門病院である国立長寿医療研究センターで、痛みを和らげる緩和ケアの医師として活動しています。また、私の所属するチームは、認知症の人の痛みに気づくための多くの経験をしてきました。
この記事では、その経験や海外の医学論文でわかっていることも踏まえて、認知症の人の痛みに気づく方法についてお伝えします。

 

認知症の人の痛みに気づく5つのポイント

  1. 息づかいは穏やかかどうか

穏やかな息づかいをされている時は痛みが少ない時です。息をはあはあしている時や頑張って息をしている時は、少し痛みがあります。はあはあが長く続く時や、ぜこぜこと音を伴うような息づかいをしている時は、痛みが強い時です。息づかいに注目しましょう。

  1. 声が出ているかどうか

笑い声の時や、声を出していない時は、痛みが少ない時です。笑顔でない小声の時は少し痛い時です。それが大きな声になると、痛みが強い時です。声に耳を傾けましょう。

  1. 表情は穏やかかどうか

穏やかな表情の時は、痛みが少ないです。悲しそうな表情や怯えているような表情の時は少し痛みがあるかもしれません。もし、顔をゆがめているようならきっと強い痛みです。表情の穏やかさという視点で見てください。

  1. しぐさがリラックスしているかどうか

リラックスしたしぐさに見える時は、痛みが少ないです。行ったり来たりしている時、そわそわしている時は、少し痛い時です。たとえば、こぶしを握ったり、何かを押しのけるような動作がある時などは、とても痛みが強いはずです。体の筋肉の緊張の程度など、リラックスしているかどうかに着目しましょう。

  1. 声かけに対する反応はどうか

何かわからないけど、何かしら痛そうだなと思ったら声をかけてみましょう。声をかけて、こちらに注目してくれたら、激しい痛みはないでしょう。声をかけても、こちらにまったく注目してくれない時は、激しい痛みがあるかもしれません。小さな声から大きな声へ、順番に声の大きさを変えて、声をかけてみましょう。そして、反応を見てみましょう。より小さな声でこちらに注目してくれたら、大きな痛みはないはずです。

 

この5つのポイントは、下記の医学論文を参考に、私や、私の所属するチームの経験をもとに記載したものです。

おわりに

この記事では、認知症の人の痛みに気づく方法について触れました。少しでも不安のあるかたは、国立長寿医療研究センターの外来棟ロビー階の老年内科外来にお越しください。隣に緩和ケア外来や看護外来も併設しています。認知症の人の痛みについて、皆さんの悩みを一緒に考えます。

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